EXCAVATION - 発掘 -

東京という都市で、その主体はどう連続し、あるいはどう孤立しているのか。

独創的な視点によって写真作品への思考を加速させる写真家・伊丹豪が、いまという時代の軌跡を示します。

 
 

「東京の標本」というテーマで写真を撮って欲しいと頼まれたときは、大きなテーマに一瞬たじろいだが、普段自分がやっていることとさして変わりはないのではないか、とすぐに承諾した。

話を聞くと、次のシーズンのコンセプトは「発掘」であるとのこと。

すぐに「発掘」を調べる。

はっ‐くつ【発掘】

[名](スル)

1 地中に埋もれているものを掘り出すこと。「埋蔵金が発掘される」

2 考古学で、埋もれた遺跡を掘り出す作業。「ピラミッドの発掘調査」

3 世間に知られていないすぐれた人やものを見つけ出すこと。「隠れた人材を発掘する」

-デジタル大辞泉より-

とあった。

なんにせよ、未だ見ぬものを探り出すことになる。

写真とは、カメラという機器を操作してレンズの前を複製することであり、それ以外の何かをそこに付け足すことができるわけではない。物語を語らせることも、意味付けするようなことも、本質的にはできない。ましてや「発掘」することなんてできるわけがない。

しかし、レンズの前を複製するだけといっても、それは見聞きしたことのあるものに対して、新たな目をもって向かい合い、それを写真へと変換することで新たな価値を付与しているのではないか、それこそは「発掘」ではないか。

見聞きしたことがあるもの、当たり前になってしまったものはほとんど視界に入らないし、疑おうとしなくなる。その当たり前や、常識に対し、少し立ち止まって疑問を持つことを忘れないようにすれば、あとは写真が問いかけてくれる。

私や、あなたはその写真について考え、想いを馳せよう。

それこそが、未だ見ぬものを探り出す「発掘」であると願って。

文・写真:伊丹 豪

東京の標本SIRI SIRI